ボードゲームマイライフ

トライボーディアン勢によるオセロ囲碁将棋その他についてのブログ

【将棋】折田翔吾アマvs本田奎五段(プロ編入試験について)

2月25日、折田翔吾アマのプロ編入試験第4局が行われ、折田アマが見事勝利!

通算成績を3勝1敗とし、プロ入りを決めました!

 

Twitterや生中継等で、将棋界隈は大盛り上がりだったみたいですね。

 

プロ入りから史上最短でタイトル挑戦という正真正銘の怪物・本田五段を相手に完勝してプロ入りを決めるというドラマチックな結末を誰が予想できたでしょうか。私も自分のことじゃないのにそわそわしながら時々途中経過を確認していました。

折田さん、おめでとうございます!!

 

 

折田アマはYoutuber「アゲアゲさん」としても活躍していることから、今回のプロ編入試験は非常に注目されており、将棋界に限らず一般の方の耳にも入る話題となっていたのではないでしょうか。

 

昨今は藤井聡太七段による将棋ブームの影響で、比較的多くの方がすでにご存じかとも思いますが、

 

そもそも、プロ編入試験とは何なのか?将棋のプロになる方法は?

 

というところを少し説明したいと思います(知ってるよという方は飛ばしてください)。

 

 

まず、かつては将棋のプロになる方法は、

 

奨励会に入会し、四段に昇段する」

 

というのが唯一の道でした。

 

奨励会というのはプロ養成機関で、6級から三段まであるそうですが、「奨励会6級」は「アマチュア四段又は五段」に相当するといわれています。

 

つまり、「アマチュア四段又は五段」以上の実力を持つ人の中でも強い人が「奨励会5級」になり、その中でも強い人が「奨励会4級」になり、さらにその中でも、、、という感じで、振るいにかけられ尽くした結果、天才の中の天才だけが四段=プロになれるのです。

 

奨励会を突破するのはそれほどに厳しい道のりなので、才能も力も十分、という人であっても、必ずしも皆が突破できるわけではありません。奨励会には年齢制限があり(最長29歳まで)、それを超えると、どんなに才能豊かな人であっても、プロへの道は閉ざされてしまうことになります。

 

しかし、プロになれずに奨励会を退会した人が、その後も将棋を続けてアマチュアの大会で活躍し、プロ並み、あるいはプロをもしのぐ力をつけてしまう例が出てきました。それが、2004年当時の瀬川晶司アマ(現六段)です。

瀬川氏は、奨励会退会後、プロ棋戦にアマチュア枠で出場すると、プロ棋士を相手に7割を超える高勝率を記録しました。

 

瀬川氏の活躍を受けて、「プロより強い人がプロになれないなんておかしい。瀬川氏をプロにしよう!」という動きが将棋界全体を巻き込んで大きくなり、その結果、瀬川氏に対して異例のプロ編入試験が実施されることになりました。

瀬川氏は見事合格し、奨励会ルートとは別のルートでプロになることに成功したのです。

 

その後日本将棋連盟は、特例扱いだったプロ編入試験を制度化し、一定の条件を満たしたアマチュア選手に対して一律に受験資格を与えることにしました。これが現行のプロ編入試験制度であり、奨励会ルートに対する唯一の例外となっています。

 

今回の折田アマは、制度化されたプロ編入試験における2例目の受験者でした。

なお、1例目の受験者は2014年当時の今泉健司アマ(現四段)です(合格)。約15年間で受験資格を得た人が2人しかいないということで、それだけでもいかに厳しい条件かわかりますね。

 

プロ編入試験は5名のプロと対局し、3勝を挙げれば合格となります。その試験官となるプロは「新四段を棋士番号順に選出」、つまりプロになりたての人から順に選ばれることになっているのですが、

 

つい先日プロ入り後史上最短でタイトル挑戦者となる快挙を成し遂げた本田奎五段(試験官に選ばれた時は四段)がその中に含まれていて、しかも第4局という正念場になる可能性の高いタイミングで対局しなければならないとは、折田アマにとってはなんという間の悪さ、、、

 

 

、、、と思っていたのですが、予想をはるかに上回る戦いを見せ、見事プロ入りを決めた折田さん。

 

おそらくプロ入り後もYoutuber活動を続けていかれると思いますし、棋士の中でもトップクラスにファンを獲得しそうですね。

 

今後の将棋界がますます楽しみになるニュースでした。

 

 

将棋のプロ入りといえば、現在奨励会三段リーグが佳境で、3月7日の最終日を残すのみとなっています。

注目は西山朋佳女流三冠の女性初の四段昇段実現なるか、ですね。これについても追って書きたいと思います。